静かな夜

彼女は夜道を歩いていた。小さな街灯が頼りで、闇が迫るような気がした。何かが見えた。影が。近くに潜んでいるのだろうか。彼女は怖くなって早歩きを始めた。

「おい、待ちなよ。」不意に後ろから声が聞こえた。振り向いた彼女の前には、彼女と同じ年頃の男性がいた。

「ちょっと夜道に女の子一人で歩かせておけないからついてきたんだ。Υou’re welcome。」男性は微笑んで言った。彼女はほっとして笑った。

道を共にするうちに、2人は話をするようになった。男性は自分が大学生であることを明かした。彼女も大学生で、2人は多くの共通点を見つけた。

やがて、街灯が少なくなってきた。その静かな夜道で2人は不思議な空気を感じた。男性は彼女に向き合って話しかけた。

「君は綺麗だな。」男性の言葉に、彼女は動揺を隠しきれなかった。男性は続けた。「ちょっといい?」男性が彼女に近づいてくると、彼女は勢いで引いてしまった。男性の頬に赤みが広がった。

「ごめん。急に言ってしまって。君を困らせたみたいだね。でも、君が知る必要があると思って。僕は君に素直に思っていることを伝えようと思ったんだ。」男性はおどおどと言葉を続けた。彼女は彼の優しさに心を打たれた。

「ありがとう。でも、私は恋愛にはまだ興味がないんだ。ごめんなさい。」彼女は素直に伝えた。

男性は驚いた顔をしたが、彼女を責めることはなかった。2人は笑顔で、それぞれの道を歩き始めた。

街灯がなくなって、男性はさっきまでの雰囲気に戻った。彼は周りを見回して、木陰に駆け込んだ。目の前には、鳥のような大きさの不気味な黒い生き物がいた。男性はたじろいで、声をあげた。生き物は男性に襲いかかり、彼に傷を負わせた。

痛みの中、男性は転がりながら逃げることができた。力尽きる直前、彼はひとりの赤い瞳を見つめた。それは彼が今、恐れるべき生き物の瞳だった。

彼女はすぐ近くのコンビニで1本の缶コーヒーを買った。店員のおばちゃんが「こんな遅い時間に大丈夫かしら。」と言うような顔をしていた。でも、彼女は背筋を伸ばして、そしてまた夜道を歩き始めた。彼女が通過したあたりから、街灯が次々と灯り始めた。周囲が明るくなるにつれ、彼女の不安も和らいでいった。彼女は守られているような気がして、ひとり笑った。


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