深い森の中を、小さな妖精が飛んでいた。
彼女は、星明かりを頼りに、早く家に帰りたかった。
今夜は、お父さんと、飛び跳ねながら遊ぶ約束をしていたからだ。
でも、まだ家に帰れそうにない。
目の前に、大きな影が現れた。
「おい、妖精。こんなところで何してるんだ?」
妖精は、揺れる声に、びくりとした。
それでも、怖がらずに声を出してみた。
「私は、ただ家に帰りたいだけです。お邪魔してすみませんが、通していただけませんか?」
大きな影は、むむっと唸った。
「そうやって、軽々しく話ができるんだな。ほれ、触ってやるから、今夜は俺の奴隷になれ!」
影を纏っていた男は、ぐるぐると手を回して、妖精の前に立ちはだかった。
妖精は、必死に翼をばたつかせ、逃げようとした。
しかし、男は、うまくくじを引いたように、追いかけてきた。
だけど、それでも、妖精はあきらめなかった。
彼女は、小さな身体をぴょんぴょんと跳ねさせ、男の頭上を素早く駆け抜けた。
男は、怒鳴りつけながらも、妖精を追いかける。
妖精が、森の入り口に近づくにつれ、彼女の悲鳴が響き渡った。
「助けてー!誰かー!」
妖精は急いで、家に戻り、お父さんの腕の中に飛び込んだ。
以上が、深い森で起きた出来事でした。
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