慌ただしい日常生活の中、人々は電話を手放せなくなっていた。特に、僕は自宅や職場で電話を扱うことが多かった。
ある日、僕は職場で大切な商談のための電話をすることになった。番号を入力し、音が鳴るのを待っていると、目の前を通り過ぎる一本の線路に目が留まった。
あの線路を見つめているうちに、何かが違うことに気がついた。線路は一本だが、それが分岐し、先に伸びていく。そして、別の方向に伸びるもう一本の線路に向かって並行に続いていく。その姿を見ただけで、僕は何かが気付いたような気がした。
「もしもあの分岐点で別の方向に行っていたら、新しい発見があったかもしれない」
その瞬間、電話がつながった。
あまりのことに驚いているうちに、相手が事情を話しかけてくる。しかし、僕は頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。自分自身にハッと我に返るように叫びかけると、自分のミスを恥じるようになった。
あれ以来、僕は自分の物思いに浸る時には、偶然に見つけたものをじっくりと眺めるように心がけるようになった。
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