命がけの取引

ある日の夜、私は友人から一通のメッセージを受け取った。

どうも、お久しぶりです。ちょっと重要な話があるんだけど、会ってもらえるかな?

今すぐじゃなくてもいいよ。明日会える時間帯を教えて。

あ、その前に言っておくけど、警察には絶対に話さないでね。

友人は大学時代からの付き合いで、今でも時々飲みに行く間柄だった。

ただ、このメッセージを見ても、何を言いたいのかさっぱり分からなかった。

私は返信をしながら、彼女が何かトラブルに巻き込まれたのではないかと心配しつつ、明日の午前中に会うことにした。

翌日、私は約束の場所で友人を待ち合わせた。

彼女は数分遅れて、急いでやって来た。

その時、彼女の右手には小さな箱が握られていた。

「私、今、死にそうだから……それで、お願いがあるんだけど……」

彼女は力なく呟いた。

私は彼女に話を聞き出そうとしたが、全然話を聞かない。

とうとう彼女は、私にその箱を手渡して言った。

「これ、警察には渡さないで……私はもう、命がけの取引をしてるの。だから、この箱をどうか私の代わりに預かって欲しい……」

彼女と話をすると、私は彼女がかなりの金額の借金を抱えていることが分かった。

彼女が命がけの取引をしているのは、その借金を返済するためだった。

私は友人の頼みを引き受け、箱を預かった。

彼女は「必ず返します」と繰り返し、さっと去っていった。

目が上がらなかった私は、そのまま帰宅した。

友人のこの事件には驚いたが、彼女が借金をしていたことにはさらに驚いた。

私は彼女に会ってから数日間、ずっと彼女の帰りを待ち続けていた。

しかし、彼女からは連絡がなかった。

そして、ある日の朝、私が目を覚ますと、その箱が机の上に置かれていた。

彼女は約束通り、返してくれたのだ。

彼女からの連絡がないことには疑問を持ったが、一応彼女が命までかけてまで預けた物を返してくれたことには感謝している。

しかし、友人が借金を抱えたことには驚き、納得がいかなかった。

私は彼女がどうして借金をしてしまったのか、真相を知ることはできなかった。


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