失われた思い出

彼女との思い出が突然失われた。

彼女とは大学時代に出会った。

最初はただの友達だったけど、時間が経つにつれてお互いに惹かれあって付き合うことになった。

毎日がただ楽しくて、彼女と過ごす時間が全てだった。

ある日、彼女が事故に遭った。

幸いにも彼女自体は怪我をしなかったものの、車の中に入っていた私たちの記憶カードが壊れてしまった。

すべての思い出、写真、動画、全てが消えてしまった。

彼女は嘘をついているのかと言われるくらい、カードが本当に壊れたことを信じられなかった。

私たちは泣きながら、失われた思い出を一つ一つ思い出し、話し合った。

しかし、記憶って怖くて不思議なものだと思った。

あの日、彼女が遭った事故の一瞬が、私たちの記憶から完全に失われていた。

「思い出せるようになったら教えてね」と彼女が言った。

私は小さく笑って、「もちろん」と答えた。

それから数年が過ぎた。

彼女とは結婚し、幸せな家庭を築いた。

しかし、あの事故の瞬間は私たちの記憶から完全に失われたままだった。