私が大学1年生のとき、同じサークルに所属していた先輩がいた。
その先輩は、とても明るくて人懐っこく、みんなに愛されていた。私もその先輩を慕っていたし、話すたびに励まされた。
しかし、大学2年生の春になると、その先輩が突然姿を消した。授業も休んでいないし、サークルも辞めた形跡がなかった。
私たち後輩は、先輩の友達に聞いても情報がないということで、心配していたが、何も手がかりがなく、放っておくしかなかった。
それから2年後、私が大学を卒業する頃、友達から先輩の噂を聞いた。
どうやら、先輩は大学を中退し、遠くの山奥に引っ越したというのだ。
私は、驚きと同時に、先輩があのような決断をした理由が知りたくてたまらなかった。
しかし、私にはその勇気がなく、先輩に何も聞くことができなかった。
それから10年後の今、私は企画会社に勤めている。
ある日、新しい取引先の担当者として、先輩が現れた。
私は、思わず先輩の名前を呼んでしまい、驚きを隠せなかった。
先輩は、何事もなかったかのようにポツリと話しかけてくれたが、やはり変わってしまったようだった。
私は、先輩が選んだ道が彼女にとって幸せなものであったことを祈るばかりだった。
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