迷い猫

ある晩、私が帰宅すると玄関前に小さな黒猫が座っていた。私は飼い猫がいなかったので、どこから来たのだろうと思いながら、猫に餌をやってその日は寝た。

次の日、玄関前にはまた猫がいた。そして、翌日も。

最初は可愛らしく思えたが、毎日同じ場所で同じように座っている猫を見ると、なんとなく不思議な気持ちになった。

ある日、猫が私の後ろをついてきた。私は「どうしたの?」と話しかけたが、猫は鳴かずについてきた。私は「もしかして迷い猫?」と思い、猫を家の中に入れた。

猫は私の家で元気に過ごし、私はこの子を飼うことに決めた。

数日後、近所のポスターに私が拾った猫の写真が載っていた。その写真を見て私は思わず叫んだ。「ミスター・シロちゃん!?」

「シロちゃん」とは私の友人が飼っていた猫の名前だったのだ。私は友人に連絡を取り、シロちゃんが行方不明になっていたことを知った。

私は友人に「迷い猫を拾ったので、家に来て確認してほしい」と伝え、友人がやってきた。私の家に入るや否や、シロちゃんは私たちに近寄ってきた。友人は涙を流しながら「本当にありがとう。見つかってよかった」と言った。

私は、シロちゃんが何日も近所を彷徨っていたことを思うと、その命を拾えて本当に良かったと思った。


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