短編小説:失われたメロディ

ある日、私は駅前で美しい曲を聴いた。その瞬間、私はその曲の虜になってしまった。何度も聴きたいと思っていたが、曲名や作曲者の名前を知らなかったため、私は自分でも作曲を試みた。

しかし、私の作品はあくまで模倣であり、あの曲にはいくつもの見るべき点を欠いていた。だが、私は欠点を埋めることができず、やがて作曲の試みを諦めた。

それから数年が経ち、私はあの曲が聴きたくてたまらなくなり、ネットで検索をした。しかし、何度検索しても、あの曲は見つからなかった。

失意のどん底で、私はある日、あの曲のメロディーを思い出し、再び作曲を試みた。すると、不思議なことに、先程よりもはるかに素晴らしい曲が私の頭の中に流れたのだ。

私はその曲を、あの日聴いた曲がずっと心の奥底に刻まれていたからこそ、作ることができたのだと思う。ひとたび見つけたメロディは、失われることもなければ忘れられることもないのだということを、私は学んだ。


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